京丹後市のバイオマスタウン構想とエコエネルギーセンター

 2012年6月19日・20日ふるさと再生京都懇談会編集委員会で現地取材を行いました。

 今回の現地取材は、京丹後市のエコエネルギーセンター(バイオマス)、福知山市の前橋工業が作成した風力発電「福風」、橋本工業が建設している「地熱住宅」を、世話人の渡邊、山村、事務局の桑原、大西の4名が訪問しレクチャーを受けました。これからのエネルギーは自然再生エネルギーが主流という展望を持って、研究・技術開発に取り組んでおられる生の力強いお話を聞くことが出来ました。折しも、台風が近畿地方に急接近近畿南部に上陸という悪条件の中、熱心に応じていただいた方々に感謝いたします。

京丹後市のバイオマス構想とエコエネルギーセンターの状況について、現地のバイオガス発電施設内の会議室でお話をお伺いしました。京丹後市農林水産環境部の後藤正明環境バイオマス推進課課長、同課の松本優課員のお二方に2時間弱に渡ってお話を聞くことが出来、同時にバイオマス施設の詳しい見学もさせていただきました

バイオガス発電施設
バイオガス発電施設

(1)この施設は、2003年に国の経済産業省所管である、独立行政法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)の「新エネルギー等地域集中実証研究」に公募・採択されたことからスタートしています。京都での実施主体は、京都府・京丹後市・富士電気システムズ(株)・アミタ(株)、(株)大林組、日新電機(株)、(株)野村総合研究所です。2004年に土地を当時の弥栄町が負担し、2005年11月に、このプロジェクトの中心であるバイオガス発電施設の本格稼働が始まりました。2008年3月にプロジェクトは終了し、2009年10月8日から「京丹後市エコエネルギーセンター」として管理運営がスタートしています。この施設の運転などはアミタ(株)が行っています

発電量と所内使用電力
発電量と所内使用電力

(2)センターでは、食品系未利用資源(商品メーカーなどの食品屑や残さなど)を発酵、メタンガスを発電に利用、発酵後を液肥として利用するという再資源化を進めています。現在では、排水の処理などに電力を使用するために発電量に対し所内の電力使用量が大ということになっていますが、液肥の需要拡大などのバランスをすすめればこれを逆転できることや、再生可能エネルギー促進法の関係でバイオエネルギーについても全量買い取りが決まったという有利な側面があり、売電価格が増えて安定できれば、コスト面でも改善できる展望をもっているということです。

(3)原料は、多くは市外(他府県からも)からの持ち込みです。主には近畿本部のエリア40社(食品大手、家電食堂など)から来ています。市は、一般生ゴミを広げたいのですが、原料としてしっかり分別しないと、異物などが入り込みまだ広く一般化できていない現状があります。昨年7月からは約200世帯の生ゴミを集めています。また、家畜糞尿の需要はなかったようで、汚泥などは重金属が出る危険性などの安全性を担保できないので除かざる得なかったようです。
(4)発電は最大で4,000KWHです。熱の利用はメタン発酵のための加熱や所内の暖房くらいで、まだ活用が少ないのが実態です(例えば近くの弥栄病院などへの熱の供給などについての質問に対して)。
(5)施設を京丹後市が持つことにいろいろ意見があったが、資源を循環させるという視点が大切だと語られました。エネルギー政策は国がしっかり方針を出すべきだと思いますが、自治体は現時点でできることをやっていくという立場ですすめたい。今後センターを活用した、生ゴミの再資源化、農業への還元(液肥や堆肥)など地域リサイクルシステムや環境学習にこの施設を活かすこと、環境循環都市の実現に向けた情報発信などを展望しています。これからの自然エネルギーの方向は「地域経済と結びつく」「自立分散型」で具体化していくことになると思います。今後はエコ観光なども大切では等の意見交換も行いました。
 

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