「再生可能エネ・固定価格買い取り制度」を活用・改善し、地域から住民参加で、再生可能エネルギーの爆発的普及を

再生可能エネルギー買い取り価格等の「委員会意見書」をふまて

 

既にマスコミ報道のように、27日、経済産業省の「調達価格等算定委員会」(委員長・植田和宏、京大・大学院教授)が、「再生可能エネ・固定価格買い取り法(略称)」に基づく、「平成24年度調達価格及び調達期間に関する意見」と「調達区分・調達価格・調達期間についての委員会案」(以下、案)を確認(http://www.meti.go.jp/committee/gizi_0000015.html)し、経済産業大臣に提出しました。今後、パブリックコメント、大臣告示など、7月1日の制度実施にむけての作業が進められます。「エネルギー政策を国民の手に」という視点から、パブリックコメントなどに積極的に参加して一層の改善を求めるとともに、これを新たな契機として、地域から再生可能エネルギーの爆発的普及へさらに取り組みを強めましょう。

※ 脱原発・再生可能エネルギーの普及を求める取り組みの一定の反映

経済産業省は当初、「買い取り価格・期間等」について、「太陽光発電」と「それ以外」という大雑把な区分で、価格については、太陽光発電以外は1KWあたり15~20円の範囲内、買い取り期間は10~20年などとしていました。しかし、再生可能エネルギーは、自然条件や立地条件などに大きく左右されることから、エネルギーの種別・設備容量・設置地域などによってきめ細かく価格設定する事などが求められ、その後の運動と世論を通じて法案が一定修正され可決しました。今回の意見書や(案)はこうしたことが反映し、20KW未満の風力・200KW未満の水力など小規模施設に対応する価格設定や、バイオマスについては燃料種別による区分設定が行われ、買い取り期間についても風力・中小水力・バイオマスが20年になるとともに、価格については再生エネを促進するため、適正な利潤(IRR)を考慮したとされています。

この調達価格等算定委員会の委員は5名で構成され国会同意人事となっています。当初の政府案では、このうち3名が、再生可能エネルギーの普及や固定価格買い取り制度に反対又は批判してきた人であり、様々な団体から適正な人事を求める要望などが出され、その結果、利害当事者である進藤孝生氏(日本経団連役員、新日鐵副会長)にかわって、植田和宏、京大・大学院教授が選定されたと報道されています。こうした適正な人事を求める取り組みなども、今回の報告内容に大きく反映していると考えられます。

※「固定価格買い取り制度」を活用・改善し、住民参加で再生可能エネルギーの普及を

「再生可能エネ・固定価格買い取り法」は先に記載した修正などによって、再生可能エネの普及にとって大きな役割を持つものなりましたが、様々な検討課題も残されています。①買い取り価格の財源は賦課金として電気料金に上乗せされること、②「電力の円滑な供給に支障が生じるおそれがあるとき」は買い取りを拒否できるとする例外規定が悪用されるおそれがあること、③再生可能エネ発電分を「優先接続」する扱いになっていないこと、④住宅用太陽光発電は従来通り「余剰電力」に限られていること、⑤既存設備での発電分は新法の対象外で旧法の経過措置扱いとなっていることなど、電気料金算定の「総括原価方式」の見直しや発送電分離などの根本的改善を含めて、今後の運動課題といえます。

こうした課題の改善をめざすとともに、法の施行を、大手企業の利潤追求や新たな利権に利用させないためにも、また、地域の資源を活用した地産地消のエネルギー選択を進める上でも、地域の雇用や経済の再生と結んだ自治体のエネルギー政策の確立、住民参加による発電設備の設置などの取り組みを一層強化することが求められているのではないでしょうか。

(2012/4/27  山本 裕)

「原発再稼働しなくても今夏の電力は足りる」

ISEPやグリーン・アクションなどが関西電力の電力需給(試算)を公表

2012/4/25 山本 

 

大飯原発の再稼働問題に関して、関西電力の今夏の電力需給見通しが、大きな論点の一つになってきており、様々な団体等が、独自の試算をもとに、政府や関西電力が発表する「需給見通し」のごまかしを追及しています。

例えば、ISEP(環境エネルギー政策研究所、飯田哲也所長)は、昨年10月25日に、「原発再稼働しなくても、今冬と来夏の電力は足りる」とのブリーフィングペーパーを発表http://www.isep.or.jp/library/1660し、この中で関西電力について、昨年程度の節電努力、揚水発電などの発電施設や需給調整契約などの有効活用、中国・中部電力などからの融通電力増、PPS等からの電力買い取りや企業の自家発電設備の活用などで、今夏についても、原発なしで乗り切れることを明らかにしていました。

その後の事態は、ほぼこの指摘のとおりに推移していますが、政府・財界・関西電力・メガバンク等は、電力需給の詳細なデーターを公表せず、意図的な資料で夏にむけての電力不足を煽りつつ、原発再稼働めざして異常な動きを強めています。

こうしたもとで、ISEPは4月17日、改めてブリーフィングペーパー「原発を再稼働しなくても今夏の電力は足る(関西電力版)」を発表http://www.isep.or.jp/library/2793しました。内容の基本的見解は、昨年10月の上記ペーパーとほぼ変わりませんが、その後の状況を踏まえ、かつ、より詳細に今夏の電力需給見通しを明らかにしており運動の参考になります。(なお、4月23日には、同「全国版」を発表)

また、このほかにも、京都では、「バイバイ原発」の運動を一緒に進めている、NPO・グリーン・アクション(アイりーン・美緒子・スミス代表)が、3月23日、独自分析での需給見通しを示すとともに、関西電力に公開質問状を提出http://www.greenaction-japan.org/modules/wordpress/index.php?p=560しています。

それぞれの試算は、需給見通しについての積算の手法等に若干の相違がありますが、いずれも、昨年並みの節電や省エネなど無理のない需要抑制と、関西電力の多面的な供給力の確保努力で、「今夏も原発なしで十分乗り切れる」ことを明らかにしている点では共通しています。

 

大飯原発再稼働の強行ではなく、エネルギー選択の国民的論議の保障を

いま、京都府・滋賀県など、自治体からも、客観的なデーターによる第三者委員会等での検証などの提言が出されていますが、電力需給の正確なデーターでの住民的検証が進めば、原発は当面必要と考えている人を含めて、原発再稼働を急ぐのではなく、地球温暖化防止や立地地域での雇用・経済などの再建とともに、日本のエネルギー政策のあり方について、じっくりと国民的論議を進めてゆくことができるでしょう。

政府は、政治判断で再稼働を強行するのではなく、国民的論議によるエネルギー選択の方向に踏み出すことこそ求められているのではないでしょうか。

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