5月21日~22日、与謝野町においてふるさと再生京都懇談会in与謝野が開催され21人が参加しました。 今回のテーマは「与謝野町に学ぶ地域を元気にする産業政策」。与謝野町商工観光課太田課長からお話しを聞きました。
「与謝野町に学ぶ地域を元気にする産業政策」-キーワードは多様性
かつてはちりめんの産地としてピーク時には1000万反を製造していたこの地域も22年5月現在では50000反と織物産業は衰退の一途です。
一方では環境への意識の高まりや高齢化社会の推進の中で福祉・医療・健康サービスへの需要は高まっており、このような社会経済の流れに沿った産業政策を作ろうと策定委員会を作り、この3月「与謝野町産業振興ビジョン」を策定しました。
地元の伝統的産業や技術・人材・自然環境を生かした産業展開で、農業・商業・工業、織物業・観光業が互いに関連しあいながら発展しようとする「地域内循環型」の経済をめざしています。
この間注目を浴びている「住宅改修助成制度」もこの中で位置付けられています。
大切にされているのは「多様性」。大きなプロジェクトで振興を展望するようなやり方は取りません。また、「雇用」の創出を意識的に追求し、このために注視されるのは医療・福祉です。
このようなやり方に対し、議会の中で「企業誘致」や大型プロジェクトを待望する声が出ることもありますが、職員による住民の生活実態調査やきめ細かな町政懇談会の実施の中で自信を持って施策を進めていくことができます。各課横断の「まちづくり本部会議」によって、課を乗り越えて「内需拡大」に知恵を絞っています。(太田課長の報告にNPO野村さんの話を合わせて、事務局の責任でまとめました)
地域の元気な住民運動
<「NPO法人野田川良い町づくりの会」>
住民の生活が大変になっている中で、ああだとかこうだとかいうてるだけではいかん。 野田川町町会議員の野村さん達は実際に生活を良くするためのNPO法人を2003年に立ち上げます。「NPO法人野田川良い町づくりの会」。 セラミック炭事業、障害児のデイサービス事業、居宅介護事業、竹林整理、竹の燃焼事業、無農薬有機農業事業など、町や府の補助金を活用しながら、いいと思ったことはすぐにやる。時には借金を抱えながらも、またいろんな困難に直面しながらも次々と小気味よく挑戦する姿勢にみんなビックリするやらうらやましいやら…。 22年度決算では事業費4500万、常勤10人・非常勤17人を雇用しています。 今後やってみたいこととして竹の肥料化、パウダー化、竹ヨーグルト、大間伐による森林保全、地域通貨(丹)の発行、地域銀行の設立と夢は果てしがないようです。
<手づくり工房「わと○」>
高齢者の一人暮らしの中ではひとり分の食事を作るのが大変。こんななかで惣菜の販売店が立ち上がりました。
当初当てにしていた補助金は「地域に1事業だけ」ということであきらめざるを得なくなりました。そこで主婦6人で出資。旧岩滝町で月、水、金の3日間だけ開催。
バラ寿司や巻きずし炊き込みご飯に地元の食材をふんだんに使った様々なお惣菜は昼前には売り切れます。高齢者だけでなく子育てに忙しいお母さんなどにも好評で、「毎日やってほしい」「売り切れるので食数を増やして欲しい」などの声もありますが、あくまで無理をせず楽しくやっています。
もちろん出資金も返り、時給に換算すれば最低賃金以下ですがちょっとした報酬も出ています。
<ちりめん街道を守り育てる会>
加悦の旧道沿いはかつては丹後ちりめんの生産物流の拠点として栄えたところで、ちりめん産業に関わった商家や工場などが残されています。
ところがちりめん産業の衰退化、高齢化の進行、空き家の拡大により維持が困難になっていました。そんな中、住民中心の組織「ちりめん街道を守り育てる会」が発足。地域の価値をみんなで再認識します。
平成17年には国の伝統的建造物群保存地区の選定を受ける事ができ、旧尾藤家住宅の指定管理を受けるなど、街並みの保存に一層頑張っています。
<京丹後市民局>
「宇川美味しんぼ大会」の取組 過疎化が進む丹後宇川地区。「住んでいるものが確信を持たずして、どうして地域の良さを発信できよう」ということで京都府の「里力再生事業」も活用して「宇川美味しんぼ大会」を開催。女性の力と食べ物の力を引き出し、元気の出る取組となりました。
丹後6町が合併してできた京丹後市、旧町単位に設置されている市民局。配置される職員の数もだんだん減らされ、予算も少なく。
しかし、「金がなければ頭を…。行動しよう。マンパワーを生かそう」と取り組んでいる。地域の動きに自治体がどのように絡んでいくのか。それが課題だと思う。
夕食交流会で深まる絆
夕食交流会では昼間の学習から更に人間的な交流が。今後のふるさと再生に生かせるネットワークも広がりました。
ちりめん街道では機音まで聞こえて