棚田を守り 村を守る- みんなで守ろう毛原の棚田

1.はじめに

 旧大江町では、昭和57年から行政と住民が一体となり、大江山鬼伝説を生かした個性豊かな地域づくりとして「大江山酒呑童子」が開催される。

 以後、住民参加のもと、地域資源の再発見を通じ地域興し活動の気運が盛り上がり、各地域で活性化を目指した取り組みが広がる。

2.毛原地区の概要

  1. 集落名: 毛原位 置: 福知山市大江町。鬼伝説の大江山連邦の麓に位置し、丹後と丹波の境にあり、集落の峠には宮津に通ずる元普甲道の石畳の名残がある。標高100~200mに位置し周囲を山に囲まれた小さな集落。
  2. 戸 数: 12戸   (4)人 口: 30人
  3. 高齢化比率: 50%超(6)農地面積: 8ヘクタール
  4. 地形勾配: 1/10 (8)棚田枚数: 600枚 過疎・高齢化が急速に進み人口は減少、不在地主の増加と高齢化で農地の荒廃が進み農地の保全が困難になる。また、将来は集落機能の低下で集落の維持さえも困難な状況が予測されている。

 

3.交流活動等の概要

村づくりの取組経過 

  1. 平成2年から4年(3ヵ年)集落話し合い運動推進事業

    集落の将来像について話し合いを重ね方向性を確認する。

  2. 平成8年 近隣の地域づくり事業(ふるさと水保全モデル事業)の視察  
  3. 平成9年から平成11年(3ヵ年)「ふるさと水と土ふれあい事業」
    • 総事業費: 75,000 千円
    • 事業概要:

      (1)散策路(農道)整備 5路線、W=3.0m~3.5m、L=1,143m

      (2)水車小屋 1棟 (3)休憩所  1棟 (4)駐車場

  4. 平成9年 グラウンドカバープランツ事業の実施

    畦畔管理の省力化と景観形成(アジュガ、アークトセカ、芝桜などの)植栽)

  5. 平成9年 棚田農業体験ツアー開催

    都市住民との交流により農業農村についての理解を深める。

  6. 平成9年 起業の誘致

    ウエディングレストランOZ(オズ)の開業

  7. 平成10年 棚田オーナー制度実施

    都市住民の参加で農地の保全を図る。

  8. 平成12年 グラウンドワークの実践 :ワークショップによる住民・企業・行政が一体となった村づくり計画の策定。毛原地区が中心となり、行政、民間企業と連携しながら地域活性化に向けた事業を展開する。

◆ こうした、都市農村との交流事業の取り組みが評価を得て、平成11年に農林水産省の「日本の棚田百選」の認定を受ける。

棚田農業体験ツアー 

  • 実行委員会: 地元毛原地区、緑と伝説の大江塾、大江で地酒を造る会、行政の四者で実行委員会を結成し、各組織の持ち味を生かした取り組みを展開するなかで、農業体験、都市住民との交流を通じて参加者と地元が一緒になって農業・農村を考え行動するきっかけづくりとしている。
    • 平成8年 集落話し合い (方針の決定)
    • 平成9年 実行委員会設立 第1回棚田農業体験ツアー(会員28組)
    • 平成10年 第2回棚田農業体験ツアー(会員3組)以後今日まで会員は3組程度と少なく推移している。
  • キャッチフレーズ:「日本の棚田百選」の棚田で酒米を作って地酒を呑もう!
  • 年会費: 3万円 ・募集人員:20組
  • 特 典: (1) コシヒカリ20㎏ (2)地酒「大鬼」2本 (3)地元産の農産物 (4)宿泊施設割引券
  • 課題: ①会員の確保に向けたPR、特典の充実を図る。②地元に経済的効果が生まれる。

 

 

棚田オーナー制度

  • 毛原地区での農業指導者との交流を通じて農業技術を習得し新規就農・定住者の確保を目的とする。
  • 「日本の棚田百選」の棚田で米を作ろう! 耕す、植付け、刈取り、籾摺りまでオーナーと地元指導者が協力して取組む。オーナーは年間12回から20回来訪し、地元の大農具を借用、指導を受けながら農作業を実施する。近年は栽培技術もマスターしつつある。
  • 次の課題も抱えている。①灌漑用水の水管理が必要。 ②週末の農作業であり天候に左右される。③大農機具が必要であるが確保が難しい。
  • これまでの取り組みの成果としてオーナーの中から2組の就農・定住者が生まれている。
  • 平成10年 第1回棚田オーナー制度(会員5組)でスタートし、会員は5~6組で推移してきたが、平成20年以降は9組から10組で定着している。  
  • 年会費:5万円 ・募集人員:10組 ・水田面積:40アール(1組あたり約4アール)
  • 特 典 (1)収穫した米は全てオーナーが持ち帰る。(150㎏)
  • 現在、遊休農地の増加等に対応するため、新規オーナーを募集中。

グラウンドワーク事業

『みんなで守ろう 心のふるさと毛原の棚田』
  • 趣旨: 「毛原の棚田」を歴史的財産と位置付け、住民・企業・行政が一体となった保全活動を実践する。
  • 組織: グラウンドワーク実行委員会①住民(毛原区)②企業(ウエディングレストランOZ) ③ 行政(京都府・旧大江町)で構成する。
  • 概要: 平成12年3月5日 第1回ワークショップから始まり10月にかけて5回のワークショップを開催、地域調査会、棚田ウオッチング、地域イメージ検討会等の内容を踏まえて5ヵ年のマスタープランを策定する。平成13年度に京都府「ふるさとの自然環境と歴史的風土保全活動助成事業」でビオトープ池の整備等。

4 今後の課題と展開

(課題)

  1. 高齢化が進むなかで交流事業の取り組みが負担になってきている。
  2. 交流事業等の参加者をいかに定住に結びつけるか。 (展開)
  3. 事業の受入れ体制の整備: 交流施設の改修(トイレの水洗化と増設)
  4. 実行委員会体制の整備: 新しい団体の加入「田舎暮らし応援団」

    ログハウス講習会、きのこ栽培講習会、イベントへの参加等 

  5. 平成19年 丹後天橋立大江山国定公園の指定を契機としたPR
  6. 新規定住者の受入れ体制の整備: 受入れに係る地元の申し合せ規定作成
  7. モデルフォレスト事業の展開(地元だけでなく企業、NPOとの協働による山林を中心とした地域の環境保全に向けた取り組み)
  •  現実は厳しい。高齢化は回避できない。15年を経過し地元住民も高齢化で参加が困難な状況に至っている。棚田農業体験ツアーの継続について地元で話し合いを重ねている。全国の農山村は同じような困難な条件を抱えている。ここで地元住民が活性化に向けてアイディアを出し合い、新規定住・就農者の受け入れなど元気な地域づくりができるかどうか? 
  •  外部の支援団体(実行委員会構成団体)大江で地酒を造る会、田舎暮らし応援団、有志(旧緑と伝説の大江塾)、行政の支援が地元を元気にする。
  •  棚田オーナー、体験ツアー会員、モデルフォレスト企業との交流により地元住民の心を元気にする。 
  •  過去15年間に新規定住は2家族で、現在は1家族となっているが、新規定住者の地元に及ぼす影響は極めて大きいことから生き残りのためには、新規定住者の確保がなにより地元を元気にする重要な課題である。

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