2013年11月23日(土)~24日(日)

ふるさと再生京都懇談会 in伊根・野間

 「ふるさと再生京都懇談会」は、11月23日(土)~24日(日)、伊根町と京丹後市弥栄町の野間地区を訪問し、深刻な過疎化が進む丹後の中山間地で、集落再生の取り組み視察や自治体の地域振興策について懇談などを行いました。

【23日(土)】

▼11:00- 京都府伊根町役場前集合--------------------

 1日目は11時に伊根町役場に集合しました。参加者は20人、京都民医連会長の尾崎望さんも参加されました。

▼11:30-

本庄ハウス組合視察

まず訪問したのは、伊根町本庄地区のハウス生産組合。元伊根町助役・農業委員会事務局長の三野幸生さんにガイド役をお願いしました。

 現在ハウスでは「水菜、九条ネギ」中心に栽培しています。はじめはミニトマトや伏見唐辛子でしたが、京野菜ということで栽培しています。このハウス栽培をやり始めた動機は、新規の就労者を受け入れるにはどうしたらよいかという議論からです。

「米もあかん、小さい面積で収益をあげるものはなにか」「技術指導をどうするか」「受け入れるにはなにが必要か」などの議論がされました。新規の受け入れに、当時は経営農家に入ってやるというのが普通でしたが、伊根にはありませんでした。

 ハウス専業でいけるという自信がついて受け入れも出来たきたのです。土地の条件が良かったと思います。後見人をやりました。最初の方が、大阪で仕事をしておられたのですが、農業に関心をもたれ私の土地40㌃を準備してやってもらいました。最初は7カ月で400万円売上があり、毎年売上があがって自信になっていきました。しかし、災害(台風23号)で水没するということがあり一人は新規就農去っていく、一人は八木へ出て行くなどの困難なこともあります。

  現在は、大阪や神戸からのIターンの新規就農者を受け入れ、約10棟のハウスで京野菜のみず菜や九条ねぎなどを栽培を続けているということです。30代から50代の若い方が地域に溶け込み、台風被害なども乗り越えて、専業農家として販売実績をあげて自立し頑張っておられます。

▼12:00- 浦島館で昼食 参加者は「本庄丼」を注文----------

▼13:20-

薦池あずきの実践を視察

松山義宗さん

河来見(かわくるみ)公民館前に集合し、「KOMOIKE小豆の会」会長 松山義宗さん(筒川21世紀農場づくりの会 会計)から説明を受け現地を視察させてもらいました。

「薦池あずきの会」は、この地域特有の気候の関係で、薦池(こもいけ)地域でしか育たないという大粒の小豆(薦池大納言)の栽培と販路拡大に取り組む会です。

 会長の松山義宗さんは3年前に地元に戻ったUターン組で、農業経験はゼロだそうです。高齢化・過疎化がすすみ廃村の危機にあった集落原産の小豆に着目、伊根町内で消費するだけでは「ただの小豆」が、松山さんの目にはここにしかない宝物に見えました。

松山さんは、集落の方々を説得し、自ら生産から販売まで最も困難な部分を引き受け利益を分配することを約束して栽培に着手(現在、耕作面積は「会」で1ha、松山さん個人で1ha。売値は約5000円~6000円/kg)。Uターンするまえの職業、コンサルタントの経験を生かし、和菓子店だけではなく有名ホテルやカフェなどにも、こういう使い方ができるとスイーツの実演販売などで売り込みに歩くそうです(良い素材があるというだけでは全然相手にされない)。

「補助金には頼らない」(行政は補助金を出して作れ作れとは言うが販路までは責任を持たない)、「農協には頼らない」(中間搾取されるだけ)、「地産都消」(地域でつくり都市部で販売、利益は地域に呼び込む)など、熱い言葉がポンポン飛び出します。薦池大納言は、マスコミからも注目を集めて全国から引き合いが相次ぎ、年々売上を伸ばして確実に地域に利益と元気をもたらしています。現在、伊根町内での加工販売の準備もすすめているそうで、大きさも形も日本一の幻の大納言から、どんなスイーツができあがるのか楽しみです。

 

▼15:00-

伊根町の役場職員から町のとりしくみ説明と懇談

伊根町コミュニティセンターほっと館で伊根町総務課長の泉良悟課長、伊根町地域整備課の須川清広主幹から町の財政(主に予算概要)や府の「命の里事業」の活用や町独自の住宅改修助成制度の活用、町としての地域おこしの施策などをお話いただきました。

 

【説明文書】---------------------------------------------------

筒川地域における振興策

○パイプハウス整備事業 平成元年~24年度

 女性・高齢者でも作業ができるようパイプハウスを導入し、施設栽培による周年栽培を開始。現在町内で144棟の京野菜(みず菜、九条ネギ)の周年栽培と菰菜採取が行われている。

○農業構造改善事業 平成7~9年度

 本庄地区に交流施設を整備し、その中で筒川地域で栽培されていたそばを産物と位置づけ、農地保全と特産物育成、雇用機会の創出を図るためそば生産拡大を行った。現在も13㌶の農地で「筒川そば」が作付けられている。

○21世紀型地域農場づくり事業 平成12~14年度

 過疎、高齢化により農地が荒廃する中、地域内の担い手確保と農地の荒廃を防ぐため、筒川地域全体で協議会を設立し、農地保全活動を実施。現在では、直営で水稲3.5㌶、そば4.5㌶の農地を管理し、さらに作業受託として、刈取り・乾操・調製も請負い農地保全活動に寄与している。

 平成15年度 トラクター、水稲直播機、畔塗機

 平成17年度 コンバイン、乾燥機、調整機、保管施設整備

○レンタカウ事業 平成14~15年度

 生産調整、高齢化、獣害により山裾の農地の荒廃化が進む中で、鳥獣による農地の被害を防止するため、京都府の碇高原牧場の牛を借り受け、荒廃農地に放牧することで鳥獣の里への侵入を防止した。

○農のあるライフスタイル支援事業 平成17~19年度

 筒川村づくり委員会を立ち上げ、移住、定住に向けた取り組みを行った。(空家調査、空家見学会、都市住民の農林業体験、交流会)

 移住者 3組

○共に育む「命の里」事業 平成22~24年度

 過疎、高齢化により集落機能が低下している筒川地域と比較的活気のある本庄地区が連携し、地域の再生に向けた協議検討を行った。

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 地域振興について「筒川の振興策」の説明で、定住化措置(農水業の受け入れ加工などの二次産業のとりくみ、地産物の販売所など)について説明をうけ、地域の観光客は伸びていることや民宿開業についての町としての支援努力のお話もありました。

 町として診療所の統合問題(常勤医師を確保するということを前提に)での議論があることや、蒲入(カマニュー)漁港の「漁港飯」はよく売れるというお話し、今年の10月から定額バスの運行がスタートし、伊根から与謝野海病院まで200円(その他域外400円)で行けるようになり、通院や高校通学の負担が大幅に軽減され大いに歓迎されているなど興味深いお話も聞くことができました(事業費約1200万円にはソフト事業にも充当可能となった過疎債を充当)。

▼18:00- 伊根町字平田の「吉村屋旅館」で夕食交流会------------------

 地元から「愛する伊根を守る会」の方々も交えて、活発な交流を行いました。

 

【24日(土)】

▼08:10-新井の棚田見学--------------------------

 新井の千枚田といわれ棚田、今は一部の田を大阪の方が守ろうということで取り組んでもらっているそうです。

 http://www.senmaida.jp/ine/

▼08:30-油屋周辺見学----------------------------------

 映画「五番町夕霧楼(1963)」の撮影場所

▼09:10-京丹後市丹後町「Xバンドレーダー設置予定地」を視察------------


▼10:30-

京丹後市弥栄町野間地区のまちづくりについて懇談

  渓里野間(かわざとのま)の村づくりについて、会長の岡本毅さんからその歴史や現状、そして展望などを語ってもらいました。

 この地域は10集落からなり、人口は1600人から180人に、200人いた子どもは小中合わせて4人になり、高齢者の割合が2人に1人、今も人口の減少が続いるそうです。田は100haから50haになり、林も荒れているそうです。野間川の上流が荒れれば下流も荒れ、ひとつの集落が消えれば、次々にダメになると、府の「命の里」事業などを活用し、集落維持、村づくりに地区全体で取り組んでいることについてご紹介いただきました。

 「村づくりについての取り組みは、昭和40年代に村おこし、元気にする会、活性化の会とか、はじめは勢いがあるのですが人が代わると波があり、そんなことを繰り返していました。」「若い人達はなんとかしてほしいと思っています。誰がなにをするか。金のある人は金を何もしない人は文句を言わないと始めたのです。」

「3年目にアンケート調査を行い、ワークショップで思いを募りました。若い人に無理させず、くらしやすい地域をつくっていこうと、「命の里」事業を活用したとりくみがはじまりました。」

 地域の世代間の交流、山菜やソバなどの特産品、野間川の清流を生かした無肥料・無農薬のガラシャ米(丹後コシヒカリ)栽培などにも取り組んでおられます。ここでも、Iターンの方に、住む場所、農業支援、村に溶け込む支援などをはじめ、一緒に村づくりの担い手になっている様がよくわかりました。

「地域ある産品の販売・加工などすすめ、昨年朝市をみんなでやって50万円売れました。今年は2ヶ月で100万円(春の山菜)です。10数名が加工部に参加し、京都市内へ売りに行きました。そうすると20万円売れたんです。やってる女性達がよろこんでいます。」

 「こうしたことで、形の上でもデータを出せるようになっりました。参加しなかった集落もやり始めています。野間の野菜・あゆなど安全なもの特別なものをつくる地域にしたいと思います。完全無農薬の産品をつくるための技術開発や細川元総理とも連携し熊本との交流もしています。直売所も人が集まり買ってもらいやすい所としての工夫も考えています。」

 「これからの課題で3月に廃校になる学校問題や古民家、民宿、定住化などがあります。自分達の地域は自分でまもるという信念で考えていきたいと思っています。」

▼12:00- 直売所で新鮮野菜などちょっと買い物・昼食-------------------

▼13:30- 京丹後市弥栄地域公民館で行われた「丹後の地域づくりを考える」(実行委員会=京都自治体問題研究所、農業・農協問題研究所京都府支部、京都自治体問題研究所)に全員が参加

 

 

○講演:「丹後の現状と地域経済再生の展望」

  講師:岡田知弘氏(京都大学大学院経済学研究科教授)

 

○丹後における地域づくりの実践報告と交流

 *伊根町本庄でのハウス団地の取り組み

   伊根町ハウス生産組合 組合長・二ノ倉芳樹さん

 *京丹後の再生可能エネルギーのとりくみ

  「ピコ☆エネ丹後」~小水力発電で丹後に灯りをともす会

   吉田電気工業・吉田健三さん

 *暮らしてきてよかったと言える野間を

   弥栄町野間連合区長・藤原利昭さん

 *与謝野町中小企業振興基本条例について

  ~与謝野町流の条例づくりと条例制定後の展開

   与謝野町産業振興会議委員 安田織物(株)・安田章二さん

 

…………ふるさと再生京都懇談会取材班レポート20131223-24…………

 

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